犬研について

犬と人は、長い時間をともに暮らしてきました。

同時に、犬と人は異なる生き物です。身体のつくりも、感じ方も、ものの見え方も、求めるものも違います。同じ場所で暮らしていれば、ときには人にとって困ることや、犬にとって負担になることも起こります。

そんなとき、犬の行動を人からだけ見るのではなく、「犬から見たらどうなのだろう」と考えてみる。それによって、これまでとは違った見え方ができることがあります。

それぞれの家庭で、犬を見る文化をつくる。

犬研では、犬の行動を人間の都合や一般論だけで判断するのではなく、毎日の暮らしの中でその犬を観察し、「この犬には何が起きているのだろう」と考えることが、特別なことではなく当たり前になることを目指しています。

答えではなく、自分の犬を見るための視点と、考えるための材料を。

犬研では、観察する視点、行動の前後関係を見る方法、記録するための道具、研究から分かっていることや、まだ分かっていないことなどを伝えていきます。

そうしたものを通して、飼い主自身が自分の犬について考えられるようになること。そして必要なときには、専門家と一緒に考えるための土台にもなることを目指しています。

犬研

犬研が大切にしている3つのこと

1.犬の立場から見る

人間の価値観や都合だけで犬の行動を判断せず、犬の側から見てみることを大切にしています。

犬には犬の欲求や感情があり、それぞれ身体の状態も、経験も、生活環境も異なります。

「なぜこの行動をしているのだろう?」

「犬から見たら、この状況はどうなのだろう?」

行動を評価する前に、まず犬の側からその状況を見てみます。

2.犬を理解してから考える

犬が吠える、歩かない、嫌がるといった目に見える行動だけを変えようとするのではなく、その背景に目を向けます。

犬は何を感じているのか。
何を求めているのか。
どのような環境で暮らしているのか。
身体に不調はないか。
これまでにどのような経験をしてきたのか。
人との関係はどうなのか。

一つの行動にも、さまざまな背景があります。

その行動だけを切り取るのではなく、その犬について知ろうとすることから考えます。

3.違いを認め、ともに暮らす方法を考える

犬と人は種が異なる生き物です。

犬には犬の欲求や生活があり、人には人の生活があります。どちらか一方だけに合わせるのではなく、それぞれの違いを認めながら、ともに暮らしていく方法を考えます。

犬と暮らす人間には、犬の生活を決める大きな力があります。

どこまで人間が決めるのか。
どこまで犬に選択を委ねられるのか。
犬の自由をどこまで確保できるのか。
人の生活とどのように折り合いをつけていくのか。

犬のために人がすべてを我慢するということでも、人の都合だけに犬を合わせるということでもありません。犬と人の両方を、一つの暮らしの中に置いて考えることを大切にしています。

犬研が行わないこと:犬を、簡単な答えに押し込めない。

犬研では、「この行動=この気持ち」と簡単に決めつけません。「こうすればうまくいく」という一つの方法を、すべての犬に当てはめることもしません。

また、人にとって困る行動だけを見て、それをなくすことを目的にはしません。その犬に何が起きているのか、行動の前後や生活環境、その犬自身の状態も含めて考えます。

研究や専門家から得られる知識を大切にしながら、それだけで目の前の犬を分かったことにはしません。分かりやすく伝えるためであっても、犬の行動を必要以上に単純化しないことを大切にしています。

犬研は、すぐに答えを出す場所ではなく、自分の犬をもう少しよく見て、考えてみるための場所でありたいと思っています。