望まない行動を減らすには(その1)

吠えていると分かった上で、あえて何もしないことにも効果があるという話を前回ちょっとしましたが、これについてもう少し詳しく見ていきましょう。

例えば何か食べ物が欲しくて犬がわんわん吠えているとします。ここで食べ物をあげると、わんわん吠えると食べ物がもらえると犬は学習します。次も食べ物が欲しくなったら、わんわん吠えて食べ物をもらおうとします。

行動をなくしたり減らしたりする学習の1つに負の弱化があります。わんわん吠えても何も得るものがなければ、その行動は段々なくなっていきます。会社に行って仕事をしても給料が支払われなくなったら、もうその会社に行くことはなくなるでしょう。そうしたことと同じです。

食べ物をもらおうと、わんわん吠えているときに、犬を無視しましょうと教わることがあるかもしれません。目を合わせず知らんぷりをするとか、くるっと回ってどこかに行くとか、いくつか方法があると思います。犬の性格にもよりますが、飼い主さんの方を向いてわんわん吠えるとしたら、犬はコミュニケーションをとろうとしています。知らんぷりをしていると、いつまでも吠え続けていることがあるかもしれません。そんなときには、手を横に降るなどのジェスチャーと「ないよ」などと言葉をつけて、あげる食べ物はないというサインを送るようにしてみるといいと思います。

一度サインを送ったら犬のことはしばらく気にしない。これを繰り返すことで「ないよ」の意味を学習してくれます。この「ないよ」は、犬が遊んで欲しくてわんわん吠えるようなときにも使えるので、上手にコミュニケーションをとりながら望まない行動を減らす良い方法だと思います。

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参考文献
実森 正子・中島 定彦. (2019) 学習の心理 第2版. 東京都, サイエンス社

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