前回「グッボーイ」や「いいこ」などの褒めるときに使う言葉を、みんなで同じにしましょう。という話をしました。今日はその「グッボーイ」や「いいこ」といった単語が、褒め言葉として犬が分かっているか。というお話です。
「グッボーイ」や「いいこ」という単語に対して、とくに何も教えていないと犬には伝わりません。犬は言語を理解することができないので、条件付け、結び付けをしておぼえてもらいます。
まず犬が普通に立っている状態で「グッボーイ」といってすぐにオヤツをあげる、「グッボーイ」といってすぐにオヤツをあげる。を繰り返します。「グッボーイ」の後にオヤツが出る、「グッボーイ」の後にオヤツが出る、「グッボーイ」オヤツ、「グッボーイ」オヤツ、「グッボーイ」=オヤツ。となっていきます。それまで何の意味も持たなかった「グッボーイ」は、オヤツと同じくらい効果のあるものに学習されます。
こうした「グッボーイ」や「いいこ」のような二次性強化子と呼ばれるものは、学習してはじめて意味を持ちます。学習できたな、と思ったらこの条件付け、結び付けだけの練習は終了します。通常なにか望ましい行動が見られたときに「グッボーイ」オヤツを使うようにします。「シット」や「オスワリ」の指示を出したら、犬が座ってくれた。「グッボーイ」オヤツ。という具合です。
POINT一次性強化子は犬にとって持って生まれた生きていく上で必要不可欠なもの
二次性強化子は犬にとって生きていく上で必要不可欠ではないもの
このように、一次性強化子(オヤツ)と二次性強化子(グッボーイ)を組み合わせて使うことで「グッボーイ」は褒め言葉になります。
これが出来るようになると、オヤツを徐々に抜いていくことが出来ます。「グッボーイ」の後に何も出ないことを混ぜていきます。最初は少なく、徐々に多くの回数で出ないようにします。そうすることで「グッボーイ」だけで十分になっていきます。
Tipsオヤツをたくさんあげると犬が太ってしまう。と考えると思いますが、その分ごはんを減らせばいいのです。1日にあげるご飯の量はだいたい分かっていると思います。そこからオヤツであげた分を減らします。夕飯の後にオヤツをあげた場合には、次の日の分を減らします。
うまく考えられない場合には1週間単位で考えてみてはどうでしょう。昨日今日と多くあげたら、明日明後日は減らすことで、1週間であげるごはんの量は一定にする。
このように考えることでオヤツをあげることに対して抵抗が減ってくると思います。
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参考文献
アルバート P.A.・トールマン A.C. (2004) はじめての応用行動分析. 東京都,二瓶社
杉山 尚子 (2005) 行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由. 東京都, 集英社