社会化期も仔犬の気持ちを大切に

社会化期は、犬の一生の中でも特に大切な時期になります。個体差があるため、期間の特定は難しいですが、およそ生後3週齢から12週あるいは14週齢頃までというのが一般的です。
この時期は、まわりの環境に適応できるように、好奇心が警戒心を一時的に上回っています。心の扉が開いている時期ともいわれます。スポンジが水を吸収するように、どんどん物事を受け入れます。怖いもの知らずで出来ることの幅を広げようとします。

この時期にたくさんの人、犬、物、音など様々な刺激に触れておくことが大切です。

異なる性別、年齢、人種、服装、杖をついている、車椅子に乗っている人々。
様々な犬、年齢、大小、色、マズルの短い長い、走るのが早いゆっくり、足の長い短いなど。
様々な動くもの、車、自転車、オートバイ、自転車、スケートボード、農作業車など。
様々な音、救急車、工事現場、雷、花火など。音は収録されたものでも効果はあります。ただしスピーカーの出力が小さいものは再現性が良くないので注意が必要です。
様々な動物や様々な場所や物など、あらゆるものが対象となります。

社会化期、頑張りたい気持ちは分かりますが…

こうした仔犬の社会化期が大切なことは、今ではよく知られていることだと思います。だれしも迎えた犬のために、頑張って他の人や犬と触れ合おうとするでしょう。

しかし、社会化期で好奇心が警戒心を上回っているとはいえ、仔犬も怖がったり嫌がったりします。このときに 無理矢理ほかの犬と交流させたり、他の人に触ってもらうことは社会化にはなりません。 

例えば、子供が近づいてきて良い社会化の機会だと思っても、仔犬が興味を示さなければ、子供が触りたがっても断りましょう。強制的な行為は、逆に嫌になったり怖くなってしまうことがあります。

 社会化は、犬がポジティブな気持ちのときに育まれます。 仔犬が受け入れようとしているのか、拒んでいるのかを把握し、受け入れようとしているのであれば、様子を見ながら徐々に近づく、近づいてもらうことが大切です。音や物などに慣れることも同様です。様子を見ながら徐々に刺激を増やすようにしましょう。

また仔犬が集中できる時間はごくわずかです。脳や各器官の発達もまだ途中です。うまく出来なくて当然です。罰することなく上手に褒めて、犬も人も楽しく社会化期を過ごしていけるようにしましょう。

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参考文献
内田 佳子・菊水 健史 (2008) 犬と猫の行動学 基礎から臨床へ. 東京都, 学窓社
水越美奈・全国動物保健看護系大学協会 (2014) 専門基礎分野 動物行動学. 東京都, インターズー
リーセ V. (2014) 「子犬レッスン」テクニック. 東京都, 誠文堂新光社

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