犬を褒めるタイミングも「犬を褒めることが出来ているかどうか」の確認ポイントになります。例えば、お座りの行動を強くするには、「シット」や「オスワリ」の指示を出して犬が地面にお尻を付けたときに、「グッボーイ」や「いいこ」と言ってオヤツをあげます。このときの「グッボーイ」や「いいこ」と言うタイミングが重要になります。そのタイミングは、指示を出して犬が地面にお尻をつけた瞬間になります。その間隔は短ければ短いほど効果があります。
逆にいうと間隔が長くなると効果がなくなってきます。長くなるとその間に、違う動作が挟まる可能性が増えます。例えば、お座りで犬が地面にお尻を付けた後にワンと吠えたとします。「グッボーイ」や「いいこ」を言うのが吠えた後のタイミングになると、吠えたことに対して褒めることになります。座ったことに対して褒めることは出来ません。地面にお尻を付けた後に食卓に置いてあるフルーツを見たとします。「グッボーイ」や「いいこ」を言うのが遅れるとフルーツを見た行動を褒めることになります。いつも直前の行動が褒める対象になります。
罰の考え方も同様です。直前の行動を罰しなければ効果はありません。例えば飼い主さんの留守中に、犬がクッションをボロボロにしてしまったとき、帰宅した飼い主さんが犬を罰しても効果はありません。ボロボロにしている最中でなければ、怒っても犬はクッションをボロボロにしたことと、怒られていることを結びつけることは出来ません。ですから罰することはとても難しいことです。例え罰したところで、犬には何が正しいのか、正解は何かを教えることはできません。またむやみに罰することは、犬との信頼関係を壊しかねません。この例の場合では、ボロボロにされて困るものは犬の届くところに置かない、長い時間留守番をさせない、散歩や遊びがじゅうぶんに満たされているか確認する。など対策をして、犬がストレスを溜め込むことなく、問題となる行動を起こさないようすることが大切です。
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参考文献
アルバート P.A.・トールマン A.C. (2004) はじめての応用行動分析. 東京都,二瓶社
杉山 尚子 (2005) 行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由. 東京都, 集英社