犬に何か問題になる行動が見られたとき、環境を見直すことで、犬の行動が改善することは良くあります。問題の原因となるものを探して、環境を変えることで、問題が起きなく、あるいは起きにくくしていきます。
家の中で犬がよく吠えるようになった例では、透けている窓の外を通行する人の影が気になって、吠えるようになっていました。カーテンを掛けて外を見えなくすることで、窓のそばで吠えることがなくなりました。また窓を開けていて、外の音が気になって吠えが増えたケースもあります。配達の台車の音や、散歩中の他の犬の声などは気になる音です。窓を閉めることで音が小さくなり、吠えることが減っていきました。どちらも対策としては単純なことですが、不快な刺激を抑えてあげることで問題は減っていきます。
こうした状況は放っておくとずっと続きます。窓の外を不審な人影が通った→ワンワン吠えた→不審な人はいなくなった。ワンワン吠えたことで不審者が立ち去ったため、次からも不審な人影が見えたらワンワン吠えるようになります。人影である通行人は、ただ目の前の道を通り過ぎて行っただけだんですけどね。こうした人影を見えなくすることも環境を変えることの1つです。
では、ずっとカーテンを閉めたままなのか?というと、そうではありません。人影になれるように練習をすることで、カーテンを開けることが出来るようになります。詳細はまた後日書きたいと思いますが、少ない刺激から徐々に増やしていく方法などがあります。
また環境よりも先に犬の健康について考えなければなりません。どこか痛くて吠えていたとすると、環境を変えたところで、吠えは変わらないでしょう。あるき方や姿勢、背中の丸みなど、犬の様子を注意して観察する必要があります。痛みの恐れがある場合には獣医師の診察が必要になります。
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参考文献
プライア K. (1998) うまくやるための強化の原理. 東京都,二瓶社
アルバート P.A.・トールマン A.C. (2004) はじめての応用行動分析. 東京都,二瓶社
杉山 尚子 (2005) 行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由. 東京都, 集英社