犬の問題改善のための手順

犬研のカウンセリングで犬の問題を扱うときには順番があります。問題があるから、いきなりトレーニングをしましょう、ということは通常ありません。

目次

1.犬の身体的健康、栄養状態

まずは犬の身体が健康であるかどうかです。犬が背中を痛めたことによって、吠えることが増えた場合、背中の痛みがおさまらなければ、吠えが減ることはないでしょう。健康に問題がある場合には、獣医師の診察が必要になります。健康の問題は、初日のカウンセリングでは分からず、観察を続けることで途中で見つかることもあります。
また食餌から十分な栄養が得られているかも大切です。食餌を変更したことで、怒りっぽい性格が改善した例もあります。

2.環境を検証して整える

犬が抱える苦悩や苦痛の原因は何か調査をし、改善方法を考えます。犬がどのような環境で生活しているのか、人とどのように関わっているのか、犬に不快な接し方をしていないかなどを確認します。話しかける声のトーンやスピードを変えたり、ゆっくり歩くことなども環境改善の1つになります。
また、刺激にさらしておけば、そのうち慣れるだろうと、ストレスを与え続けていているケースがありますが、反応が出てしまっているような強い刺激は、慣れることはありません。ただストレスを抱えるだけです。

3.トレーニングは正の強化から始める

望ましい行動の発生確率を高めるために、正の強化を使ったトレーニングから始めます。正の強化は犬にいつも正解を教えることができます。また犬を傷つけることがないため、信頼関係を壊すことがありません。犬も人も楽しく行えるので、いつもモチベーションが高くトレーニングすることができます。

正の強化とは
望ましい行動に対して、行為者(犬)にとって喜ばしい刺激(オヤツ、おもちゃ、飼い主の関心など)で報酬を与えること。

4.他の方法やアイデア

拮抗条件付け、系統的脱感作、分化強化、負の弱化、負の強化、消去方など、罰を用いない方法でトレーニング内容を検討します。

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参考文献
アルバート P.A・トールマン A.C,(2004),はじめての応用行動分析,東京都,二瓶社
杉山 尚子, (2005), 行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由, 東京都, 集英社
プライア K,(1998),うまくやるための強化の原理,東京都,二瓶社
IAABC. Hierarchy of Procedures for Humane and Effective Practice. The International Association of Animal Behavior Consultants. https://m.iaabc.org/about/lima/hierarchy/

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