前回は犬からのアクションに対しての回避を行うことで、行動を減らしていこうとするものでした。今日は、望まない行動には不用意に関わらないがテーマです。
例えば犬が自分の足を舐めているとします。これは犬の自然な行動ですが、舐めすぎると皮膚炎になりそうだから止めさせたいと思う飼い主さんもいるかと思います。このときに「やめなさい」と声を掛けたくなります。「やめなさい」の意味を理解していない場合、犬は飼い主さんから声をかけてもらった、かまってもらえた、関心を得られた、となります。次もかまってもらいたいから足を舐めよう。となってしまいまい、足を舐める行動が増えるかもしれません。
犬にとっては飼い主さんからの関心は報酬になります。犬との関係性が良好な場合、視線が合うだけでも報酬になります。足を舐めているときに、あー舐めてるな。と、じっと犬を見ることが、かまってもらえた、関心を得られた。となる可能性があります。場合によっては、視線が合わなくても犬は飼い主さんに見られていることを察します。犬種にもよりますが犬は視野が広いです。犬が見ていないだろうと思っても、意外と気づいているかもしれません。
犬が自分の足を舐めていて、止めてほしいと思ったときには、犬を見たり、声をかけたり、不用意な関心を与えず、犬が止めるのを待つのが良いと思います。舐めること以外でも、多少のことには関心を与えない、気にしないことが、望まない行動を増やさないことに繋がります。
もちろん舐めすぎて炎症を起こしているときには、獣医の診察を受ける必要があります。また過度の舐めの場合には何か過剰なストレスが原因かもしれません。散歩が足りない、遊びが足りない、噛む欲求が満たされていない、留守番が長い。などが考えられ、生活を見直す必要があるでしょう。
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参考文献
Horwitz D.F. and Neilson J.C. (2012) 犬と猫の問題行動診断・治療ガイド, 東京都, エデュワードプレス
実森 正子・中島 定彦. (2019) 学習の心理 第2版. 東京都, サイエンス社