犬に積極的に組み込まれた警護の役割

約3万年前〜1万年前の石器時代の初め頃に、人間は定住を始めたと言われています。定住化が 行われたことで農耕が始まりました。こうした中で人間は、犬を自分たちのグループの中に入れて、畑の作物や家畜を外敵から守るなどの警護の役割を与えました。

その鋭い嗅覚と聴覚で、近づく敵の存在をいち早くキャッチし、吠えたり威嚇したりすることで外敵を追い払い、人間に知らせる役目をしました。 また夜になると、肉食獣が人間の生活を脅かしていましたが、同様に吠えたり威嚇したりすることで、 人間のグループも守っていたと考えられています。
犬にこうした警護の役割を担ってもらうことで、人間の安全性が高くなり、睡眠時間を確保することが出来たとみられています。

護衛の仕事がよくできる犬は、選択されて繁殖されてきました。今でもその特徴は残っていて、知らない人や犬などが近づいて来たら、吠えることで同じグループの飼い主に知らせます。こうした護衛の行動は、生まれ持って備わったものになります。

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渡部 森哉, (2019), 人類の定住に関する考察, 人類学研究所 研究論集, 南山大学 [オンライ ン], http://rci.nanzan-u.ac.jp/jinruiken/publication/item/ronshu7_02%20Watanabe.pdf, (閲覧日2021年7月28日)
菊水健史・永澤美保, (2012), 犬のココロをよむ, 東京都, 岩波書店

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