行方不明の女性の場所を犬が知らせて助ける

今年の9月宮城県で、散歩をしていた女性と犬が、側溝にはまって動けなくなっていた80代の女性を発見し助けたというニュースがありました。

自宅の近くを散歩していたところ、突然犬がソワソワしながら、リードを引っ張り、土手の階段を上っていったそうです。飼い主さんも一緒についていくと、側溝にはまってしまい、動けなくなっている高齢の女性を発見したということです。
すぐに飼い主さんの家族を通じて消防に通報され、高齢の女性は無事に救出されたそうです。
ちょうど死角になってしまう場所だったため、犬の活躍がなければ発見が遅れていたことでしょう。

動物行動・心理学の観点から見ると3つの要素が見えてきました。

1,犬は広範囲の匂いが分かる高齢の女性は階段を上った先の、死角で見えないところにいました。視覚ではなく嗅覚を使って異変を感知したのだと思われます。
また、以前紹介した動画からも分かるように、人間が狭い部屋で香水の香りを感じ取れるとすると、犬は同じことがサッカースタジアムの広さで可能だということです。
離れた場所で倒れていても、犬には匂いが分かったのだと思います。

2,犬は人間のストレス臭が分かるではどんな匂いを感知したのでしょうか。
高齢の女性は身動きが取れなくなり、相当焦っていたでしょう。体からは多くのストレス臭など、普段は発しない様々な分泌物が発せられていたと思います。
犬は人間のストレス臭が分かることが明らかになっています。おそらく他にもたくさん種類の人の匂いが分かるのだと思います。
犬はいつもの散歩ルートで、通常にはない匂いを感知し、匂いの元に行きたいという欲求が生まれ、飼い主さんを引っ張りって行ったのでしょう。

3.犬と飼い主さんのとの良好な関係性犬が引っ張って脇道にそれようとしたときに、飼い主さんは、犬が興味を寄せる方向に一緒に向かっています。犬の要望、犬の意見を聞いて一緒に行動しています。
また、いつもはおとなしい犬が興奮していたということです。犬を変化を敏感に感じ取っています。
こうした行動から、犬と飼い主さんとが強い信頼関係で結ばれていることが分かります。

犬の高い嗅覚の能力と、犬と飼い主さんとの信頼関係が、高齢の女性を助けたニュースだと感じました。

参考文献
Wilson C, Campbell K, Petzel Z, Reeve C. (2022) Dogs can discriminate between human baseline and psychological stress condition odours. PLOS, https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0274143

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