犬が高い位置に排尿するわけ

目次

拡散性が高くなる

排尿は犬にとって、排泄とマーキングの2つの目的があります。
マーキングが目的の場合では、片足を上げ、木や電柱、壁など、地面に対して垂直の面に排尿する傾向にあります。
なぜなら排泄された尿は、重力で下に流れていくからです。高いところに排尿すると低いところに比べ、より広い面積で広がる可能性が高くなります。
尿の匂いは、揮発性の成分として空気中に放出されるため、風による条件が良ければ、遠くまで広がって情報を伝えることができるのです。
地面への排尿では、土や砂利、砂の上ならばすぐに地面へ吸収されてしまうでしょう。また、アスファルトで あっても吸収性の高いものも多く、拡散性はそれほど期待できません。そのためマーキングが目的の場合は、壁や電柱、草木など、垂直面の高いところに排尿する傾向にあります。

他の犬の鼻の高さに近くなる

排尿する際に、片脚を上げたときの高さが、鼻の高さに近いところになるという見解があります(ミクローシ, 2019)。
犬は種類が多く大小様々であるため、鼻の高さという基準は少々曖昧ですが、地面へのマーキングよりも高い位置になることで、分かりやすくなるという利点があるでしょう。
動物行動学者のブルース・フォーグルも、犬自身に関する匂いの資料を、他者の目につくところ、つまり鼻につくところに置きたければ、足をあげて鼻の高さ近くに排尿するのが良い方法になるだろう(フォーグル,2005)と述べています。

実際の体格よりも大きく見せることができる

高い位置で排尿をすることで、実際の体格よりも大きく見せることができるという見解もあります(Coates,2018)。
犬の性別、年齢、生殖状態などの情報を提供するだけでなく、垂直な面に残された尿の跡は、他の犬がその犬の大きさを想像するのに役立つようです。
尿の跡の高さが高いほど、大きな犬のマーキングの跡かもしれないと認識し、特に小型犬の成犬が実際よりも高い位置で行う傾向にあるそうです。
小型犬は大型犬と直接交流するのは危険だと判断をしていて、間接的な匂いによるコミュニケーションを好むといいます(McGuire ら,2018)。
こうしたことから、自己防衛のため に、より高い位置にするマーキングをすると考えられています。

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参考文献
フォーグル B. (2005) ドッグズ・マインド. 東京都, 八坂書房
ミクローシ A. (2019) イヌの博物図鑑, 東京都, 原書房
Coates J. (2018) 12 Dog Peeing Positions and What They Mean, PetMD. https://www.petmd.com/dog/behavior/12-dog-peeing-positions-and-what-they-mean
McGuire B. Olsen B. Bemis K.E. Orantes D. (2018) Urine marking in male domestic dogs: honest or dishonest?, Journal of Zoology. https://doi.org/10.1111/jzo.12603

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